アコースティックガーデンについて

パシフィックガーデン(コロムビア)CHCB-30007 定価¥2381+税 2000年12月リリース

ピアノと加藤達雄のギターデュオ
アコースティックなスムースジャズ サウンドが
心地よいリズムをきざむ
DVD「ハイビジョン宇宙へ 毛利さんと飛ぶ〜シャトルからの眺め〜」のサウンドトラック作品

1. ア・パッセージ・スルー・ジ・エアー
2. 夢の国
3. セイル・アクロス・ザ・スカイ
4. スピード・ザ・ドーン
5. ジ・エブ・アンド・フロー
6. ノスタルジア
7. アラウ・ユアセルフ・トゥ・フロー
8. エアー・ストリーム
9. ザ・ブルー・ホライズン
10. 雲の海
11. ザ・シルバー・ムーンセット
12. 舟歌
13. ウォーク・スルー・ザ・ブルー
14. プレリュード~ブルー・アクア~

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ライナーノーツより

「ハイビジョン宇宙へ 毛利さんと飛ぶ〜シャトルからの眺め〜」、これはそのDVD作品のサウンドトラックだ。
その映像にインスパイアーされた渡辺雅二(p)と加藤達雄(g)の二人が7曲づつ新たに曲を書き下ろしたものだが、この音楽はその映像を離れても一つの音楽作品として聴ける魅力を持っている。
昔、あのブライアン・イーノが宇宙をテーマにした映画「アポロ」のためにサウンドトラックを作ったがそのアルバムは、すっと僕の盤になっている。
最近ではギタリストのパット・メセニーがやったサウンドトラック「ア・マップ・オブ・ザ・ワールド」は映画が日本では未公開にもかかわらず、そのサントラは多くのファンが聴いている。イーノにしてもパットにしても映像のために作った音楽が独立して1枚のアルバムとして聴ける価値があるということだろう。それと同じことがこの作品にもいえる。
渡辺と加藤は、今夏、”新たな生活空間の創造”をテーマにスタートした注目のレーベル”パシフィックガーデン”からそれぞれリーダーアルバム「PIANO GARDEN/渡辺雅二」と「MORNING DEW/加藤達雄」をリリースし話題になっている。
ピアノとギターによるデュオ・アルバムというとビル・エバンス(p)とジム・ホール(g)の名作「アンダー・カレント」を思い出すが、互いの”間”を生かしたインタープレイがデュオの最高のスリルだが、渡辺と加藤の”対話”は静かに音を重ねることで興奮を呼び込んでいくインタープレイのベスト・スタイルを展開している。それはクワイエット・エクスタシーとでも言えるようなサウンドだ。「ただただ美しい自然が織りなすショー、シャトルから見る月の入りの光景はまさに演出されたかのようです」(加藤)「美しい珊瑚礁とエメラルドブルーに輝く海に囲まれた宝石のような島々を思い描いて書きました」(渡辺)
宇宙から見た美しさ、2人は音楽自身がまるで内省するかのように対話しながら心象風景を生み出していく。これまでの宇宙=シンセサイザー・サウンドという常識を破った彼らのアコースティックサウンドの響きは、宇宙からの映像にマッチし逆に新鮮だ。現代を横切ったともいえる彼らのそのアコースティック感覚の確かさが、21世紀の音楽につながる不思議な統一感を生んでいるところも面白い!
壮大で鮮やか、やさしく、たゆたう音楽がここにある。そして自然体で演奏を楽しんでしまう二人のその気取りのなさもベテランの味がする。

                 「ADLIB」編集長  松下佳男