ピアノガーデンについて

パシフィックガーデン(コロムビア)CHCB-30002 定価¥2381+税 2000年8月リリース

ピアノで表情豊かに歌い上げるオリジナル
クラシック音楽のエッセンスが効いた優美な曲の数々
TV番組で頻繁に使われている

1、Sunlight Filterling Down Through The Trees(木々の輝き)
2、Fantasia(ファンタジア)
3、Romance(ロマンス)
4、Lavender(ラベンダー)
5、Nocturne(ノクターン)
6、Windmill(風車)
7、Crescent(クレッセント)
8、Morning Dew(モーニング・デュー)
9、Fallen Leaves(落ち葉)
10、Tears(ティアーズ)
11、Valse(ヴァルス)
12、Apres Un Reve(夢のあとに)

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ライナーノーツより

 ソロ楽器によるアルバムの中でピアノ作品がもっとも多いということは歴史的にみてもうなづける。その理由としてピアノという楽器が持つ幅広い表現能力がまず一番にあげられるだろう。バッキングしながらソロやメロディーもとれるし、音の広がりも他の楽器に比べて迫力がある。そして、多くのリスナーが感動するのはやはりその“音色”だ。シンプルで耳にやさしく、強弱の音のバランスや時にホットなビート感も作れるその百花繚乱的な表現方法がピアノの大きな魅力の一つでもある。そして特に、ニュー・エイジやヒーリング・ミュージックといわれるジャンルの中で最も人気を呼んでいるのがピアノ作品であるというところがまた面白い結果だと思う。さて本作品は、パシフィック・ムーンのアルバム「京 ANCIENT CITY」や「雪 SNOW」などで話題になった渡辺雅二のピアノ・ソロ・アルバムだ。前述の作品はアジアというイメージ・コンセプトで作られていたが、今回の作品は彼のグローバルな発想の元に作られたリッチでゴージャスなピアノそのものサウンドで構成されている。ソロ・ピアノによる詩情あふれる彼の心のスケッチともいえるこの作品は、リスナーの頭に自然とヴィジュアル・イメージが浮かんでくる。そして面白いのは、そのヴィジュアル・イメージが聴く人によって異なるものであることが想像できるところだ。だから、1000人が聴けば1000種類のヴィジュアル・イメージが生まれることになる。ピアニストとしての彼の素晴らしさは、この作品であらゆる解釈の可能性をリスナーに提示したことではないだろうか。それが出来るのは、彼があらゆる音楽に関心があるからだ。喜多郎のコンサート・ツアーにキーボードで参加したり、ニュー・エイジ・ミュージックのバンド、R・E・Mを結成し、4枚のアルバムを発表するなど、これまでの音楽体験やいろんなスタイルをプレイすることで自分の音楽に対する理解を深め、いつも新たな可能性を探ることが出来たのだと思う。そして、ミュージシャンにとって大事なのは、そういった経験を通して、自分のプレイに常にフレッシュな感性で臨むことだ。彼は、このピアノ作品を通してそういったことを表現している様に思う。エモーショナルなフィーリングをピアノでムードいっぱいに歌い上げる各曲はリスナーに様々な気分を味あわせてくれる。グッド・メロディー、リラックス・フィーリング、郷愁、切ない想い、スムーズ、大人のまろやかさ、懐かしさ、ロマンティック、自然の美しさ、デリケート・タッチ、ドラマ、アンビエント、夕暮れ、哀しみ、夢の中、安心、落ち着き、憧れ、優しいバラード、エギゾチックな場所、ロスト・ラヴ、さまよい、無邪気な驚きなどを僕に与えてくれた。眺めのいい部屋から“美しいピアノのある風景”を次から次へと見せられている気分になった。そして、魅力的なのはピアノ一台なのにサウンド全体から感じられるのは、ソロをプレイしている彼とそれを伴奏するフル・オーケストラを思い描けるところだ。彼のアドリブに対するアプローチはとても作曲的であり、間を生かした空間がまるでオーケストラの持つ力強さを引き出している様に思えるということだ。 それがドラマティックなサウンド・エッセンスにつながっている。このように様々な要素を複雑に組み合わせたニュー・エイジ・ミュージックやジャズ/フュージョンなどのインストゥルメンタル中心の音楽は、ポップな音楽ジャンルの隙間に落ち込んでしまう傾向が特に日本ではこれまで多かった。それに比べ、アメリカでは多世代にわたって、そういったアダルト音楽ファンがしっかりと根づいている状況がある。うれしいことに最近は日本でもヒーリング、ワールド・ミュージックなどの人気もあり、そういった音楽ファン、単なるポップスでは飽き足らない人たちが増えてきた感じがする。 この作品はそういった人たちに音楽の幅広さを教えることになると思う。                     「ADLIB」編集長  松下佳男